ワールドアジア協同組合

外国人技能実習生の給与相場と設定方法を徹底解説

「技能実習生にどれくらいの給与を支払えばいいのか分からない」

「地域や職種によって給与水準が違うと聞いたけれど、何を参考にすればいいの?」

「最低賃金や割増賃金など、法的なルールも守れているか不安」

そんな悩みを抱えていませんか?

本記事では、技能実習生の給与設定に悩む企業担当者や受け入れ先の方々に向けて、制度の基本から相場の目安・法的な注意点までを網羅的に解説します。

■この記事でわかる3つのこと

  1. 全国・地域別・職種別に見る給与相場と平均額
  2. 適切な給与設定のための具体的なポイントと注意点
  3. 最低賃金や同一労働同一賃金など遵守すべき法的ルール

これらを知ることで、トラブルのリスクを防ぎつつ、制度に即した適正な給与設定ができるようになります。

専門家ではない方でも安心して読み進められるよう、制度の基本からやさしく丁寧に解説しているので、読み終わるころには自社に合った給与設定の道筋が見えてくるはずです。

不安を確信に変えるために、ぜひ最後まで読んでみてください。

技能実習生の給与とは?基礎知識と背景

技能実習制度と給与の関係

外国人技能実習生は労働者としての立場を持ち、日本人同様に給与が支払われるルールが適用されます。

最低賃金の遵守や残業代の支給など、日本の労働法に基づいた処遇が求められるのです。

この制度は本来、開発途上国の若者が技術や知識を学ぶ「国際貢献」を目的としていますが、実態としては人手不足を補う労働力として扱われることも少なくありません。

そのため、給与面でのトラブルが発生しやすい状況となっています。

法務省と厚生労働省による監督体制が敷かれており、不適切な処遇が確認された場合は、企業や監理団体に対して厳格な指導が行われます。

法令違反の際には受け入れ停止処分などの措置も取られるでしょう。

つまり、技能実習生の給与は「研修の一環」ではなく「法律で守られた労働の対価」として位置づけられているのです。

自治体や産業ごとの給与ルール

技能実習生の給与は地域によって異なります。

地域ごとに定められた最低賃金がベースとなるため、都市部と地方では支給額に差が生じます。

2024年時点では、東京都の最低賃金は1,113円、秋田県は893円と200円以上の開きがあるのが現状です。

職種によっても給与設定の基準は変わります。

建設業や介護職では特に法的監視が強化されており、最低賃金以上の待遇だけでなく、適切な労働時間管理も義務付けられているのです。

各都道府県の労働局や監理団体による定期的な巡回・指導も行われており、給与明細の確認などが実施されます。

違反があれば実習計画の認定取り消しとなる可能性もあるため、企業側にとっても大きなリスクとなります。

このように給与は会社の裁量だけで決まるものではなく、地域の最低賃金や産業別の監督基準に従って適切に設定・支給することが不可欠です。

技能実習生の給与相場と平均額

全国および地域別の平均給与

技能実習生の給与は全国平均で月額15万~18万円程度となっています。

都市部ではより高く、地方では数万円低くなるのが一般的です。

これは地域の生活コストの違いを反映しているといえるでしょう。

都道府県別最低賃金額には大きな地域差があり、東京都の1,113円から秋田県の893円まで200円以上の開きがあります。

実際の相場としては都市部で月18万円前後、地方では14万円台が目安となるため、地域の最低賃金や生活費を考慮した設定が重要です。

職種別・在留資格別の給与の傾向

職種によっても給与水準は異なり、建設業や介護職など人材需要の高い業種ではより高い傾向にあります。

また、在留資格が「技能実習2号・3号」と上がるにつれて、経験年数に応じた昇給が見込まれるのが特徴です。

具体的には、2号へ移行した実習生の約6割が初年度より月給で2万~3万円増加するといわれています。

金属加工業では、初年度16万円から始まり、2号で18.5万円・3号では20万円へと段階的に引き上げられるケースもあります。

このような昇給制度は、実習生のモチベーション向上や定着率アップに寄与するでしょう。

介護職の給与水準

介護分野で働く技能実習生は、全国平均よりやや高めの月17万円〜20万円が相場でしょう。

これは介護施設での人手不足が深刻なため、待遇を上乗せしている事業所が多いことが背景にあります。

夜勤手当や処遇改善加算を活用すると、基本給に加えて数万円の上乗せも可能となり、より魅力的な給与体系を構築できます。

介護職は全国平均より約1〜2万円高い水準であることを念頭に置いた待遇設計が求められるのです。

給与の決め方と設定のポイント

最低賃金を守る

技能実習生の給与設定で最も基本となるのは「最低賃金の遵守」です。

日本人・外国人を問わず、すべての労働者に適用される鉄則といえるでしょう。

最低賃金法では、各都道府県で定められた「地域別最低賃金額」を下回る賃金支払いが禁じられています。

2024年10月時点では、東京都が1,113円・大阪府が1,064円・福岡県が941円など地域によって異なります。

給与設定の際は、必ずその地域の最新の最低賃金を確認し、それを下回らないよう注意が必要です。

最低賃金の改定に合わせて、実習生の給与も適宜見直しましょう。

同一労働同一賃金を遵守

技能実習生が日本人と同じ仕事内容である場合、賃金水準も基本的には同等であるべきです。

これは「パートタイム・有期雇用労働法」の考え方に基づくものです。

通勤手当や作業服支給などの待遇も公平に扱う必要があります。

同じ条件で働いているのに実習生だけが不利な扱いを受けるような状況は避けるべきでしょう。

割増賃金の支払い(時間外・休日手当)

技能実習生にも、時間外労働や休日出勤には法定の割増賃金を支払わなければなりません。

労働基準法第37条により、時間外労働は25%以上・休日労働は35%以上・深夜労働は25%以上の割増率が義務付けられています。

実習生だからといって例外ではありませんので、残業や休日労働には必ず法定の割増賃金を支給することが重要です。

昇給・賞与・手当の取り扱い

技能実習生の働きぶりや在留年数に応じた昇給や賞与の導入は、モチベーション向上に効果的です。

法的義務ではありませんが、定着率や技能向上を促進する重要な施策となります。

有給休暇の有無とその扱い

技能実習生も6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤すれば、労働基準法第39条に基づき10日間の年次有給休暇が付与されます。

これは外国人だからといって例外ではなく、法定の有給休暇を正しく付与する義務があります。

まとめ

今回は外国人技能実習生の給与について、相場や設定方法・法的ルールまで幅広く解説しました。

適切な給与設定は、実習生との信頼関係を築き、企業のリスク回避にもつながります。

以下に本記事のポイントをまとめます。

1.給与相場は月15〜18万円程度

2.地域・職種で金額に差がある

3.最低賃金の遵守が最重要

4.割増賃金や有給付与も義務

5.公平な処遇がトラブルを防ぐ

実習生の処遇改善は、企業の評価にも大きく関わります。

法令に沿った正しい対応を心がけましょう。

関連記事

TOP