「技能実習生を受け入れたいけど、どの職種で可能なのか分からない」
「技能実習生が2号や3号に移行するには、どんな条件が必要なの?」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?
この記事を読むことで得られるのは、以下の重要な3つのポイントです。
- 受け入れ可能な分野・職種・作業の最新リストを網羅的に確認できる
- 技能実習2号や3号への移行対象職種とその具体的な条件がわかる
- 職種ごとの業務範囲や、注意すべきポイントを把握できる
この記事を読めば、煩雑だった職種や移行制度の疑問がクリアになり、受け入れ準備や実務対応をスムーズに進められる未来が待っています。
ぜひ最後までご覧ください。
受け入れ可能な分野・職種・作業の一覧
技能実習生の受け入れには、日本政府が指定した分野と職種の範囲内でのみ対応が可能です。
技能実習制度において定められた職種から選択し、適切な実習環境を整備することが求められています。
農業・林業関係(3職種7作業)
農業分野では作物栽培や家畜管理、林業作業が対象です。
野菜や果物の栽培、養豚・養鶏の管理、木材の伐採・加工などが含まれます。
漁業関係(2職種10作業)
漁業においては魚や貝の養殖、漁船での漁獲作業が認められています。マグロ延縄漁やカキの養殖作業などが具体的な内容です。
建設関係(22職種33作業)
建設分野は最も職種が多く、建築大工・左官・塗装・鉄筋施工・配管などの作業が対象となります。
マンションや住宅の建設現場で多くの技能実習生が活躍しています。
食品製造関係(11職種19作業)
食品製造ではパンやお菓子、水産加工品の製造が対象となっています。
パン工場での製造や水産物の加工などが含まれています。
繊維・衣服関係(13職種22作業)
繊維や衣服関連では縫製や紡績が代表的な作業となります。
衣料品の縫製・染色・編物などが具体的な内容となっています。
機械・金属関係(17職種34作業)
機械や金属分野は金属加工や機械組立てが主な内容です。
自動車部品の組立や溶接作業、金属切削加工などが挙げられます。
その他(21職種39作業)
上記以外にも家具製作やクリーニング・自動車整備・ビル清掃など、さまざまな職種が認められています。
社内検定型の職種・作業(2職種4作業)
特定企業内で認められた社内資格を持つ場合に実習が認められる職種で、特殊な技能を必要とする作業が中心となっています。
厚生労働省や外国人技能実習機構(OTIT)が公表する運用要領などの公的資料に具体的な職種・作業一覧が定期的に更新されており、制度の透明性が保たれています。
技能実習制度では政府が指定した職種と作業の範囲内でのみ受け入れが認められており、受け入れを検討する企業は最新の対象職種や作業をしっかり把握し、適切に制度を活用する必要があります。
移行対象職種と移行の条件
技能実習制度では、一定の条件を満たすことで「1号」から「2号」、さらに「3号」へと段階的に移行することができます。
ただし、すべての職種で移行できるわけではなく、国が定めた「移行対象職種」に限って2号や3号への移行が可能です。
移行の条件も厳しく設定されており、技能試験の合格や受入企業の評価などが必要となります。
技能実習2号移行対象職種一覧
技能実習2号へ移行できるのは、厚生労働省と出入国在留管理庁が定めた職種に限られています。
現在、87職種159作業が対象となっており、農業や建設・食品製造・機械金属関係などが含まれます。
移行対象とされる職種は、一定の技能が継続して学べると認められた分野です。
技能実習3号に移行できない職種
技能実習3号に移行できる職種はさらに限定されます。
現在、2号職種のうち43職種64作業のみが3号への移行対象とされています。
つまり、2号の全職種が自動的に3号に移行できるわけではありません。
これは技能実習3号が「優良な受入企業」で、かつ「より高い技能水準の継続的な実習」を目的とするステージだからです。
ビルクリーニングや家具製作など、一定の期間で基本技術を修得できるとされる職種は3号への移行対象とはなっていません。
2号・3号への移行には技能検定合格が必須
技能実習制度では2号・3号への移行にあたり、「技能検定の合格」が必須条件となっています。
具体的には1号から2号に進む際には「基礎級」、2号から3号に進む際には「随時3級」または「専門級」と呼ばれる実技試験に合格しなければなりません。
この検定は公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)などの監修のもとで実施され、全国各地で年に数回行われています。
3号への移行には優良認定が必要
3号への移行では実習生本人の技能だけでなく、受け入れ企業や監理団体が「優良認定」を受けていることが大前提です。
優良認定とは技能実習制度を適正に運用していると国から評価された団体や企業に与えられる制度で、過去の実習生への待遇・法令順守・指導体制などが厳しく審査されます。
職種ごとの業務区分と注意点
技能実習制度では職種ごとに「できる業務」が細かく決められており、許可された範囲を超えて実習生に別の仕事をさせることはできません。
つまり、職種ごとに明確に区切られた業務内容を守ることが制度運用の大前提となっています。
このルールを理解せずに受け入れを行うと不適切な運用とみなされ、監理団体や受け入れ企業に行政指導が入ることもあるため、注意が必要です。
<h3>必須業務とは何か</h3>
必須業務とは、その職種で実習生が必ず経験すべき基本的かつ中心となる作業を意味します。
例えば、食品製造業であれば「材料の計量」「成型」「包装」などが該当します。
出入国在留管理庁の「技能実習制度運用要領」によると、1日の作業のうち半分以上の時間をこの必須業務に充てなければならないとされています。
関連業務・周辺業務の考え方
関連業務とは、必須業務と直接関係のある補助的な作業を指します。
例えば、食品工場で包装作業を行う前にラインの清掃や備品の準備を行うことは関連業務にあたります。
一方、周辺業務は必須業務とはやや距離があり、直接の技術習得には関係が薄い作業です。
掃除や荷物の運搬・書類整理などが該当します。
周辺業務にばかり従事させることは制度の趣旨に反するため、原則として短時間にとどめる必要があります。
職種ごとの業務範囲の違いと注意点
技能実習制度では同じような業種であっても、職種が異なれば許される作業も変わってくるという点に注意が必要です。
例えば、「食品製造業」と「調理業」は、どちらも食に関係しますが、制度上はまったく別の職種として扱われます。
また、建設関係の「型枠施工」と「鉄筋施工」はどちらも建築現場での仕事ですが、作業の内容も実習の目的も異なります。
実習生が行える作業範囲も明確に区別され、この区分を無視して職種外の業務を行わせた場合、監査で重大な違反と判断される可能性があるでしょう。
まとめ
技能実習生の職種について理解を深めることは、受け入れの第一歩です。
以下に、本記事の要点をまとめます。
1.受入職種は87種159作業
2.移行には検定合格が必須
3.職種ごとの業務範囲に注意
4.3号移行には優良認定が必要
5.周辺業務は制限を守ること
最新の受け入れ可能職種や制度移行の条件・業務区分の考え方を把握することで、制度の正しい運用に繋がります。
受け入れ側が制度の全体像を把握し、適切な職種選定を行うことが、実習生との信頼関係やスムーズな実習環境づくりに役立ちます。