外国人を採用するとき、面接はどのように進めたらよいでしょうか?
日本人の場合と共通する面もありますが、文化や習慣の異なる外国人だからこそ気をつけるべき点も多々あります。
この記事では、外国人採用面接において注意すべきポイントを解説します。また面接で使える具体的な質問の例も紹介しています。
1.必ず確認しておくべきこと
1.1在留資格の確認
外国人を雇用するには、在留資格の確認は必須です。在留カードをチェックし在留期限が過ぎていないか、就労が許可されているか確認しましょう。
気をつけなくてはいけないのは、就労が認められているからといってどんな仕事をさせてもよいとはならないことです。外国人が働ける分野は法律によって厳格に定められており、許可された在留資格以外の仕事をすることは認められません。
在留資格で認められたもの以外の仕事をさせた雇用主は不法就労助長罪により罰せられます。
参照元 : 出入国管理局 在留資格一覧表
1.2日本語能力の確認
日本語能力についても最初に確認しておきましょう。
基準としては就労する仕事内容にもよりますが、日本語能力試験(JLPT)でN4を取得しているか、国際協力基金日本語基礎テストで合格しているかどうかが一つの目安になるでしょう。
参照元 : 日本語能力試験(JLPT)
参照元 : 国際協力基金日本語基礎テスト
注意が必要なのは、日本語能力試験も国際協力基金日本語基礎テストも会話能力を直接はかるものではないことです。読み書きは苦手だが、会話はできるという人も少なくありません。一般に日本語の読み書きに関しては、漢字圏の外国人には有利ですがそうでない場合は不利となります。
逆に会話は得意だが読み書きはできないというケースもあり得ます。担当業務に必要な能力を見極め、後々支障が出ないように注意しましょう。
2.面接時の注意点
2.1曖昧な言い方はしない
日本人にありがちな曖昧な表現は避けましょう。特に賃金や労働環境については誤解の余地が無いよう明確に伝えないとトラブルの元です。
また、質問の仕方も工夫しましょう。イエス・ノーで答えられる質問だと、応募者は分かっていなくても「大丈夫です」と答えがちです。本人の言葉で話させるようにしましょう。
2.2日本の常識を前提にしない
日本では暗黙の前提とされていることもきちんと説明しましょう。
例えば、「有給休暇の取得資格は入社6ヶ月後から生じる」ということは、外国人にとっては必ずしも常識とは言えません。
給料の「手取り」と「総支給額」の違いも注意が必要です。文脈によって判断できるだろうと考えず、きちんとどちらのことを指しているか説明し認識のずれが無いようにしましょう。
2.3言葉の壁に配慮する
言葉の壁があると、こちらはしっかり伝えたつもりでも実際には応募者は理解できていなかったということがあり得ます。
難しい言い回しや業界特有の用語は避け、分かりやすい日本語でゆっくり話すようにしましょう。理解できているか確認しながら進めることが大切です。
分かりやすい日本語については下記を参照するのもよいでしょう。
参照元 : 「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
2.4差別につながる発言は避ける
外国人の採用にあたっては、差別とみなされる発言をしないよう注意が必要です。国籍や人種を理由に選考結果や労働条件に差をつけることは、労働基準法3条の均等待遇の原則に違反します。悪気は無くても「〇〇人は〇〇な人が多い」などの固定観念に基づく発言には特に注意しましょう。
宗教に関しても、個人の思想・信条の自由を犯すことがないよう配慮しましょう。直接「何の宗教を信仰していますか?」と聞くことは避けた方がよいでしょう。
ただ、食事や礼拝などの情報は働く環境を整備する上で必要です。「お祈りや食事について会社に配慮して欲しいことはありますか?」というように質問を工夫しましょう。
参照元 : 厚生労働省『公正な採用選考の基本』
3.面接で使える質問例
3.1 動機やビジョンを確認する質問
「なぜ当社で働こうと思ったのですか?」
他の会社ではなくなぜ自社を選んだのか、志望動機を確認します。業務内容をあらかじめ把握しているか、他の会社との違いを理解しているかを応募者の口から語らせるようにします。
なんとなくで決めたということだと、入社後にミスマッチが生じることになりかねないので、しっかり確認しましょう。
「当社で将来かなえたい目標はありますか?」
応募者の意欲や、将来のビジョンを見ます。長く働いてくれそうかもある程度判断できるでしょう。
3.2応募者自身を知るための質問
「自己紹介をお願いします」
応募者の人柄や日本語能力、物事を分かりやすくまとめる能力などをチェックします。
「これまでどのような仕事(勉強)をしてきましたか?」「一番頑張ったことは何ですか?」
応募者が成功するためにどのように行動してきたか、課題を克服したかを見ることで、仕事の進め方の特徴や問題解決能力をはかります。価値観や人柄も見えてくるでしょう。
「あなたの得意なことと苦手なことは何ですか?」
自己分析ができているかを確認します。苦手なことについては、それをどのように克服しているかも見ます。
「なぜ日本で働こうと思ったのですか」
長期間日本で働く意思があるか、明確な目標や見通しを持っているかを確認します。
例えば「日本のマンガやアニメが好きだから」というような回答だと、働く動機としては弱いということになります。
3.3文化への適応性を確認する質問
「日本の文化についてどのような印象をもっていますか?あなたの国と違うところはありますか?」
日本の文化について理解しているか、母国との違いをどのように感じているかを確認します。本人の感性や発想もうかがい知ることができるでしょう。
「日本で働くことについて、どのような準備をしていますか?」「日本とあなたの国のルールやマナーに違いはありますか?それに対してどのように対処しますか?」
日本の文化・慣習にどのように対応しようとしているかを確認します。一方的に押し付けるのは良くないですが、外国人社員にも日本とのルールやマナーの違いを理解する姿勢が必要です。
3.5その他の実務的な質問
「日本で何年働きたいですか?」
将来のプランをより具体的に確認する質問です。企業側は長く働いてくれることを期待していたのに、短期間で帰ってしまうとなると人員計画も見直しが必要となります。
ミスマッチが生じないよう、すり合わせをしておくことが大切です。
「残業の希望はありますか?」
ワークライフバランスを重視し残業はあまり望まないのか、残業して少しでも多く稼ぎたいのか、応募者の希望を確認しましょう。
残業の有無で後々に退職につながるケースもあります。
4.まとめ
この記事では、外国人の採用面接において注意すべき点を解説しました。
まず、必ず確認しておくべきこととして「在留資格」と「日本語能力」があります。
次に、留意すべき点として「曖昧な言い方をしない」「日本の常識を前提にしない」「言葉の壁に配慮する」「差別につながる発言は避ける」ということについてそれぞれ説明しています。
また、「動機やビジョンに関する質問」「応募者自身を知るための質問」「その他の質問」の具体的な例を紹介しました。
面接は良い人材を見極める大事な機会であると同時に、対応を誤ると思わぬトラブルの原因にもなりかねません。
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