外国人を正社員として採用したいと考えたとき、
「どの在留資格なら雇用できるのか分からない」
「留学生を正社員にする場合、何から手続きを始めればいいのか不安」「日本人採用と何が違い、どこに注意すべきなのか判断できない」
と悩む企業担当者は少なくありません。
制度を正しく理解しないまま進めてしまうと、入管手続きのやり直しや、雇用後のトラブルにつながるリスクもあります。
本記事では、外国人を正社員として日本で雇用するために企業側が最低限押さえておくべき実務知識を基礎から順を追って解説します。
■ 本記事を読むことで得られること
1.外国人を正社員として採用できる条件と在留資格の考え方
2.留学生採用を含む、正社員採用までの具体的な流れと手続き
3.外国人正社員採用で起こりやすいリスクとその対処法
最後まで読むことで、外国人正社員採用に対する不安や曖昧さが整理され「自社の場合何を確認し、どの順番で進めればよいのか」が明確になります。
制度を正しく理解したうえで、安心して外国人採用に踏み出せる状態を目指しましょう。
外国人を正社員として雇用するための基礎知識
正社員の定義と日本の雇用形態の基本
日本における正社員とは雇用期間の定めがなく、フルタイムで働き、会社の就業規則が適用される雇用形態を指します。
国籍による違いはありません。
外国人であっても条件は同じです。
労働基準法や労働契約法は「労働者」を対象としており、日本人か外国人かを区別していません
厚生労働省も、外国人労働者に対して労働関係法令は原則同じと示しています。
外国人エンジニアが日本企業と無期雇用契約を結び、日本人社員と同様に社会保険へ加入するケースも一般的です。
正社員の定義自体は国籍で変わらない点が基本となります。
外国人正社員と日本人正社員の違い
雇用条件は同じでも、在留資格の有無が大きな違いです。
外国人が日本で働くには、業務内容に合った在留資格が必要になります。
出入国在留管理庁も、資格外活動は認められないと明確に示しています。
事務職として正社員採用する場合、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格が求められるでしょう。
企業は雇用条件だけでなく、在留資格との適合を必ず確認しなければなりません。
外国人雇用が増えている背景と企業側ニーズ
人手不足を背景に、外国人正社員の需要は年々高まっています。
若年層人材の確保が課題となる中、地方企業が外国人留学生を正社員として採用し、長期的な人材確保につなげるケースが増えています。
外国人雇用は一時的な対応ではなく、企業戦略の一部になりつつあるのです。
外国人を正社員として採用できる条件と在留資格
就労可能な在留資格(就労ビザ)の考え方
外国人を正社員として採用するには、仕事内容に合った就労可能な在留資格を持っている、または取得できることが条件です。
日本では出入国在留管理法により、在留資格ごとに働ける活動内容が決められています。
出入国在留管理庁も「在留資格に合わない仕事はできない」と明確に示しています。
技術職や事務職であれば「技術・人文知識・国際業務」が代表的です。
採用前に仕事内容と在留資格の一致を確認することが最も重要になります。
在留資格ごとに認められる職種の違い
在留資格によって、認められる職種は異なります。
専門性や活動内容に応じて在留資格が分かれているためです。
主な例は以下のとおりです。
・技術・人文知識・国際業務:エンジニア、事務、通訳
・技能:料理人、建築職人
・特定技能:介護、外食、製造など
職種に合わない資格では正社員雇用はできません。
外国人本人が満たすべき取得条件
外国人本人には、学歴や職歴、日本での活動内容が求められます。
在留資格審査では「業務に必要な能力があるか」が確認されるためです。
「技術・人文知識・国際業務」では、大学卒業や実務経験が条件になる場合もあります。
企業は本人の経歴確認も欠かせません。
留学生を正社員採用する場合の注意点(在留資格変更)
留学生を正社員にする場合は、在留資格の変更が必要です。
留学生の「留学」資格ではフルタイム就労ができません。
内定後に資格変更を行い、許可後に入社する流れが一般的です。
採用スケジュールには申請期間を考慮する必要があります。
外国人正社員採用のメリット・デメリットと注意点
企業側のメリット(人材不足・グローバル化など)
外国人正社員を採用する最大のメリットは、慢性的な人材不足を補える点と企業の視野が広がる点です。
特に若年層の人材確保が難しい業界では、外国人正社員の存在が事業継続に直結するケースもあります。
IT分野では外国人エンジニアを採用することで、専門スキルを補いながら海外案件にも対応できる体制を整えている企業も見られます。
外国人採用は単なる人手不足対策にとどまらず、企業成長につながる選択肢です。
デメリット(文化・言語・手続きの負担)
一方で、外国人正社員の採用には負担も伴います。
言語や文化の違いにより、意思疎通がうまくいかない場面が生じやすい点が挙げられます。
在留資格の確認や更新など、日本人採用にはない手続きも必要です。
日本の職場特有の暗黙のルールが伝わらず、業務に戸惑う外国人社員が出ることもあり、企業側には丁寧な説明や支援体制が求められます。
よくあるトラブルとリスク
特に多いトラブルは、在留資格と実際の仕事内容が合っていないケースです。
出入国在留管理庁も、在留資格で認められていない業務を行うことは問題になると示しています。
事務職として採用した外国人に現場作業を恒常的に行わせ、是正指導を受けた事例もあります。
デメリット・リスクへの具体的な対処法
これらを防ぐには、採用前に仕事内容と在留資格の適合を十分に確認し、雇用後も定期的なフォローを行うことが重要です。
日本の働き方や社内ルールを分かりやすく伝える研修を実施することでトラブルを減らせます。
外国人正社員が安心して働ける環境が整い、企業と本人の双方にとって安定した雇用につながります。
外国人を正社員として採用する流れと実務ポイント
採用方法の選び方(求人媒体・紹介会社・学校連携)
外国人正社員を採用するには、自社に合った採用方法を選ぶことが重要です。
外国人向け求人媒体・人材紹介会社・大学や専門学校との連携では、集まる人材の層や手続き負担が異なります。
留学生を対象にする場合は学校と連携することで、在留資格変更を前提とした採用が進めやすくなります。
自社の人材ニーズに合う方法を選ぶことが採用成功の第一歩です。
選考から内定・雇用契約までの流れ
選考の流れ自体は日本人採用と大きく変わりませんが、内定後の確認事項が重要になります。
業務内容が在留資格に合っているかを事前に整理する必要があるためです。
内定時に職務内容を明確にし、その内容を基に在留資格手続きを進める企業が多く見られます。
雇用契約は在留資格許可を前提とする形が一般的です。
在留資格の確認・申請・変更手続き
外国人正社員採用では、在留資格の確認と申請が必須です。
出入国在留管理庁によると、資格外の活動は認められていません。
留学生を正社員にする場合は「留学」から就労資格への変更申請が必要になります。
申請には数週間から数か月かかるため、採用計画に余裕を持つことが大切です。
雇用後に必要な手続きと定着支援のポイント
雇用後は社会保険の加入や就業規則の説明など、日本人社員と同様の手続きが必要です。
加えて、言語や文化の違いを踏まえたフォローが定着につながるでしょう。
定期面談や相談窓口を設けることで、離職を防いでいる企業もあります。
継続的な支援が安定した雇用を実現します。
まとめ
本記事では外国人を正社員として採用する際に企業が押さえておくべき基礎知識から、在留資格の考え方・採用の流れ・実務上の注意点までを解説しました。
本記事の要点を以下にまとめます。
1.正社員定義は国籍不問
2.在留資格と職務一致
3.留学生は資格変更必須
4.採用前確認が重要
5.定着支援で離職防止
外国人正社員の雇用は日本人採用と同じ部分が多い一方で、在留資格の確認や変更手続きなど、外国人特有の対応が欠かせません。
制度を正しく理解し、準備を整えることでトラブルを避けながら安定した雇用につなげることができます。